宝や重要文化財といった歴史・美術史上に残る御像もあれば、無名であっても地元の信仰の対象として日夜静かに拝まれ続けている御像もあります。

大切に受け継がれた御像を、経年により虫食いや剥落が生じたからといって簡単に新品と替えることはできません。

御像の製作年代や製作者、様式などを調査し、同様の素材や伝統的技法を用いて修復することで、可能な限り当初に近いお姿へとお戻しいたします。

 
修復工程
 
洗浄

経年による古色の風合いを残す洗浄の仕方や、汚れをきれいに洗い落とす方法など、お客様のご希望に沿った技術をご提示いたします。

御像の洗浄に化学薬品を用いますと、材や状態によっては思わぬ変化を生じさせる原因となる場合がありますので、弊社ではバイオ系洗浄剤や精製水を用いて汚れを除去いたします

 
修復工程
 

和紙の上から精製水を塗布して汚れを除去する

燻蒸処置

虫食いが激しい場合は、洗浄後に燻蒸を行います。材への影響を最小限に抑えながら、高い殺虫効果を得ることができます。

木部の含浸強化

損傷・腐朽箇所には、木部を強化させる樹脂を含浸させます。

欠損部の復原

欠損部を同材で新調製作し、接合調整をしながら御像の姿を整えます。

損傷・腐朽箇所の復原

漆で損傷・腐朽箇所に木屑を充填し、損傷の激しい部分はもとの姿に造形します。仏師により彫刻し、当初の御姿に戻します。

 
修復工程
 
欠損部を同材で復原し、繋ぎ合わせる
 
仕上げについて

お客様のご希望に沿って、当初の素材を用いて新しく塗り直すこともあれば、時代を経た風合いを残すため、古い彩色塗膜の剥落を押さえるに留める処置を施したり、復原した部材に古色付けをして周囲と馴染ませる方法を取ることもあります。

 
修復工程
 

剥離箇所に膠溶液などを注入し再接着させる