の具の剥落や紙の破れなど、経年により劣化した障壁画や彩色装飾を、伝統的素材と画法を用いて修理します。

彩色の修復作業には、元の絵の具を剥落止めして補彩する場合と、一から色を塗り直す場合とがあります。

色の再現にあたっては、目による観察の他に、光学機器を用いての素材や技法、色調の分析やそれらに基づく時代考証などが行われます。

 
塗り直し工程例1
 

※蟇股(かえるまた):

屋根からの加重を支える建造材であるが、次第に装飾性が加わった。

名称は、蟇(蛙)が足を広げてふんばった姿勢と似ていることに由来する。

 
塗り直し工程例2

※斗栱(ときょう):

柱上部に位置する構造部分で、複雑に組み込んだ木組みのことをいう。

 
剥落止め保存
剥落止め保存

昔は、膠に顔料を溶いて着色することが一般的でした。

彩色はその膠の劣化により傷み始めます。特殊な膠を補い剥離状態の絵の具を画面に圧着させることで、更なる剥落を防ぎます。

 
彩色修復の材料:岩絵具
彩色修復の材料

社寺建築などの彩色には、日本画の顔料である岩絵具が使われてきました。

利用度の高い群青色は、それだけで数十色もの種類があります。